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こんにちは、新人メタデータコーディネーターの荒川です。
前回は映画のテレビ露出をテレビ番組の状況から見ましたが、今回はTV-CMで見ていこうと思います。

前回のテレビ番組編はこちら

 

今回も対象にした映画作品は以下16作品となります。
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※興行収入のデータは日本映画製作者連盟さんの2019年記者発表資料(2018年度統計)を参考にさせていただきました。

 

 

TVメタデータを抽出


まずは前回のテレビ番組データと同じように、各作品の【TV-CMデータ】を関東での放送に絞り、公開前2週間、公開後2週間、計4週間分で抽出します。エム・データのTV-CMデータは、TV-CM出稿回数ごとにデータ化し、放送日時、局、広告主、商品・ブランド、タレント、クリエイティブ、テロップ情報などの詳細を記録しています。今回はこの中から商品・ブランドの項目で、上記対象の映画タイトルを検索して抽出しました。放送回別で4,907件出てきましたので、こちらを興行収入と紐づけてグラフ化します。

 

 

興行収入とCM露出の比較


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前回のテレビ番組は番組数でのカウントでしたが、今回のTV-CMでは放送枠が固定で決まっているので、より情報密度が高いだろう「時間」で見ていこうと思います。(テレビ番組でも時間で見ていこうと思えば可能ではあったのですが、最小単位が「番組コーナー」のため厳密な告知時間を見ることが難しく、前回は番組放送回数を指標にしました。)

TV-CMの出稿時間が長かった作品は、上から順(図の右から順)に『アベンジャーズ』『インクレディブル・ファミリー』『リメンバー・ミー』と、ディズニー作品が目立ちました。

個人的には『DESTINY 鎌倉ものがたり』のTV-CMがよく放送されている印象が強かったので、あまり出稿されていなかったのは意外な結果でした。たまたまテレビ視聴のタイミングの相性が良かったのでしょうか。

また、これまで当たり前のように受け入れていて改めて意識したことはありませんでしたが、PG12のレイティングが入る『万引き家族』等のTV-CMも、12歳未満も視聴するであろうテレビで放送しても問題ないんですね。ちなみにR15+の『デッドプール2』、R18+の『娼年』のTV-CM出稿状況も確認したところ、どちらも放送されていました。(『娼年』に関しては関東・大阪では放送されておらず、中京エリアでのみ確認できました。)

 

なお、『カメラを止めるな!』のTV-CM出稿は0回でした。
せっかくなので興行収入10億円~規模の作品で、『カメラを止めるな!』と同様にTV-CM出稿0回の作品を2015年まで遡って探してみましたが、見つけることができませんでした。確かにこの作品のヒットの仕方はTwitterや口コミが中心で、前回の記事でのテレビ番組露出を見ても公開後一ヶ月以上空いていることから、通常の宣伝会社の宣伝手法とは異なるパターンであることが見られます。

比較的話題の拡がり方が似ているのではないかと予想していた『この世界の片隅に』(2016年11月公開/興行収入26.7億円)でも、公開前後4週間で計3回TV-CMが放送されていました。(これも大変少ない本数ですが…)

 

※エム・データの顧問研究員でもある境さんが『カメラを止めるな!』のTwitter分析をされていますので、こちらもご参考ください。
「『カメラを止めるな!』の感染経路をTwitter分析で追ってみた」(境治)
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20180810-00092617/

 

 

TV-CM出稿の推移


次に公開前後何日目にTV-CM出稿が多いのか、日別推移を見ていきます。「0」が公開初日、マイナスが公開前、正数が公開後になります。

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ニュースで集中的に取り上げられる前回のテレビ番組と比べ、事前に放送される日を決め打ちできるため、作品や日にちによる差はそこまで大きくないように感じます。

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とはいえ作品ごとに細かく見ていくとちょこちょこと山があり、特に『ミッション』の公開5日前のドーンと上がっている一極集中が気になります。

具体的にTV-CMの内容を見てみると、公開6日前が19件、その翌日5日前が22件と、件数自体は微増なのですが、通常15秒30秒CMであるのに対し、この日だけで60秒CMが1本、90秒CMが2本放送されていたことで秒数を伸ばしていました。こちらは「はじめてのミッション:インポッシブル」というタイトルで、シリーズ初心者が復習できるようにゆるいアニメーションで紹介するスペシャルアニメ映像として放送されていました。

60秒以上の長いTV-CMを放送しているのは映画告知ならではの特徴が見られ、期間中の放送回数は『ミッション』が4回、『アベンジャーズ』が2回、『インクレ』が2回、『ボヘミアン・ラプソディ』が2回、『スター・ウォーズ』が1回、『グレイテスト・ショーマン』が1回、『万引き家族』が1回でした。

 

 

TV-CM出稿局別時間帯


続いて局別の時間帯で見ていきます。

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前回見たテレビ番組では朝の情報番組でニュースとして取り上げられることから6時7時台が高かったのに対し、TV-CMは主に洋画がけん引して、24時25時台が最も高くなっています。その他個別に特徴的な作品を見ていきます。

 

『ドラえもん』
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『ドラえもん』は『おはスタ』を放送している月曜木曜の7時台、『プリキュア』『ライダー』『レンジャー』を放送している日曜の8時9時台に高い結果となり、ターゲット世代への明確な訴求が見られます。逆にアニメのドラえもん放送は金曜19時ですが、その枠はさほど高くないのが意外でした。

 

『名探偵コナン』
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同じくアニメジャンルである『名探偵コナン』も、通常のアニメ放送がある土曜18時の日本テレビ枠ではTV-CMは放送しておりませんでした。告知が本編に組み込まれているということですね。

系列局である日本テレビがメインでありながらも、『ドラえもん』と同じくテレビ朝日の日曜9時『ライダー』『レンジャー』枠でも放送されており、子供向けに訴求が見られます。さらに深夜の3時台に最も高くなっているのが特徴的で、子供向けにも大人向けにも親しまれるコナンの作品性が感じられます。

 

『コード・ブルー』
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次に『コード・ブルー』はフジテレビのみでの露出でした。先ほどの『ドラえもん』はテレビ朝日が、『名探偵コナン』は日本テレビが同じように製作委員会に入っているものの他局でも放送されていましたが、こちらは局が限定されています。そのためもあってか、水曜日の25時台が高いほか、全体的に満遍なく配置されている印象を受けます。

ちなみに前回触れませんでしたが、『コード・ブルー』はテレビ番組データでも97%がフジテレビの番組の露出となっており、残りの3%は他局での「情報/ワイドショー」における「映画ランキング」でした。邦画はどの作品も製作委員会にテレビ局が入っているので、いずれか一つの局に集中する傾向が見られます。

 

『DESTINY 鎌倉ものがたり』
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最後に冒頭で個人的によくTV-CMを見たと感じていた『DESTINY 鎌倉ものがたり』を見てみます。自分の生活スタイルにぴったりに合っているのかと思いきや、最も放送されている深夜の3時や早朝5時は寝ていますし、平日の11時は会社へ行っているので見ていません。あまり合致しないのに覚えがあるのは、主題歌である宇多田ヒカルさんの楽曲が印象的だったためでしょうか。
釈然としないため、データの中身を見て実際に自分がその時間帯にテレビを見ていたかどうかもチェックしてみました。

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『DESTINY 鎌倉ものがたり』TV-CMデータ一部抜粋
一年以上前のことなので記憶が曖昧ですが、148回の放送の中で確実にその時間帯にテレビを見ていたと記憶しているのが3回(表の黄色)、家の中でテレビはついていたかもしれないがじっくりと見ていた記憶はなく、無意識化で目にしていた可能性はあるのが14回(表の水色)でした。(普段いかに自分がながら視聴をしていて、テレビをしっかり見ていないかを実感しました…。)

確実に見ていたはずという数字の3回が多いのかどうか、広告代理店の方にご意見を伺いたいですが、前職でweb広告を打っていた際のフリークエンシーは2回か3回に設定することが多かったため、広告内容をしっかりと認識させるには十分な回数なのかもしれません。

 

 

感想


前述の『DESTINY 鎌倉ものがたり』を筆頭として、当時映画の仕事をしていたことから意識して見ていたためなのか、常々映画のTV-CMって放送回数が多いなと感じていたのですが、全体の数字を見てみると想定していたよりも少ないように感じました。

今回1TV-CMの指標を回数ではなく秒数で見ていたのは、秒数が長いほど視聴者の接触率も上がるだろうと考え、より情報密度が上がるデータであると考えたためでした。結果として60秒以上のTV-CMの存在も見られ、映画特有の告知展開を見ることができましたが、やはり一般的な広告戦略と同じくフリークエンシーを考えることも重要だったのではないかと思い返しました。

実際に自分はTV-CMを何回見て多いと感じるのか、それは自分の関心があった「映画」だったからなのか、興味のない分野のTV-CMではそこまで多いと感じないのか、などを明らかにしていく必要があるかもしれません。
今度余裕があれば一年前の曖昧な記憶ではなく、自分がそもそも毎日どのくらいテレビを見ていて、特定のTV-CMを何回見かけて、それが全体の放送の何パーセント程なのかを記録してみたいと思います。

 

映画は作品ごとの特徴が多様なので、どのような層にターゲティングしているのかを見ることができるのが面白いですね。データが最も活かされる活用方法としては、今後のヒット作品を生むための法則を見つけるということにあると思いますが、今回はヒットしている作品のみを扱っているだけでしたので、興行的に失敗してしまった作品との比較や、TV-CMの視聴率と掛け合わせるなどをしても面白いかもしれません。

 

以上、「2018年映画のテレビ露出を調べてみた」でした!

 

 

 

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