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炎暑の侯、皆様いかがお過ごしだろうか。

テレビ界は早くも夏クールの折り返しである。7月スタートのドラマも前半戦が終了し、その評価がある程度見えてきた。今回はTalent Rankを使って夏ドラマの特徴を見ていこう。





図1:Twitter投稿者プロファイル(2019年7-9月期のプライムタイムに放映されているドラマ主演俳優)



図1は、2019年7-9月期のプライムタイムに放映されているドラマの主演俳優のTwitter投稿者プロファイルだ。ドラマに出演している各俳優をTweetしている投稿者の性別、年齢の中心がどこにあるのかを、俳優別に表したものだ。それぞれの俳優がどんな性別、年齢の人にTweetされているのか、話題にされているのかを示した図だ。円の大きさは各俳優のTweet量を表しており、円の大きい俳優ほどたくさんTweetされていることを表している。点線でつながれた薄い色の円は夏ドラマ放映前の2019年6月のTwitter投稿者の状況、俳優名がついているほうの濃い円は夏ドラマ放映直後の7月の状況だ。各俳優ごとに夏ドラマ放映の前と後でどのように投稿者層に変化があったのかがわかる仕掛けだ。また俳優名についている数値は、その俳優の年齢を表している。


早速各データを見ていこう。

ビデオリサーチが公表している関東地区の世帯視聴率によると、これまでのところ夏ドラマで最も視聴率が高かったのは「監察医 朝顔」(フジテレビ系列/月曜21時)、7月8日の初回放送が13.7%と高評価で、その後も12%台を維持し8月5日の第4話までの平均視聴率が12.7%と今季夏ドラマではナンバーワンだ。

主演は「のだめ」以来13年ぶりの月9が話題の上野樹里、原作は『漫画サンデー』連載のコミック。上野と共演するのは父親役の時任三郎、この二人を図でご覧いただくと、上野のファン層(Twitter投稿者)の年齢平均は32歳、上野の実年齢(33歳)と近いことがわかる。放映前と後で大きく変わったのが上野のファン層の女性比率だ。放映前月は37.5%と少なかった上野の女性比率が「監察医 朝顔」放映後は50%近くにまで上昇している。ドラマの放映によって女性層が増えた、ファン層が男性中心であった上野がドラマの放映によって着実に女性層を獲得した、ということがわかる。上野が持っていた固有のファン層以外の人々をドラマの話題性と俳優の演技によって確実に取り込んだことが、高視聴率を獲得した一つの要因であると言っていいだろう。

上野と対照的に共演の時任のファン層は女性中心(女性比率70%)、年齢層も高め(35.6歳)だ。ファン層のデモグラ(性年齢分布)が上野と時任で重なっていないことが、高視聴率のもう一つの要因だ。つまり、上野単独では取りきれないかもしれない上野のファン層(比較的若年、男性)とは真逆(比較的高年齢、女性)の層を共演者である時任ががっちり押さえている、これは強い。結果として主演のこの二人だけで幅広い視聴者層を抑えてしまっているのだ。特に時任が持つ女性高年齢層の地盤は重要だ。ドラマ視聴のスイートスポットがまさにここにあるからだ。ドラマで高レイティングを狙うには、ここの層に地盤を持つ主要キャストが欠かせない。

「朝顔」の場合、この層は時任が抑えた。ドラマでは時任と上野が父娘の関係を演じ、仕事上でも密接に絡む設定だ。視聴者は上野と時任の父娘関係のドラマをじっくりと見せられる。

今季のドラマの特徴は警察や鑑識医、コミック原作、韓流リメイクなど、似たような設定が多いことだ。「監察医 朝顔」も警察物で鑑識医設定なのだが、このドラマの本質は警察鑑識ミステリーではなく上野と時任の父娘の感情の移ろいの丁寧な描写にある。二人がセリフの合間に見せる表情や仕草、立ち振る舞いそのものが映画のように上質で重みのある作品となっているのだ。しっとりと感情を込めた上質な作りは、仮にこの作品から警察鑑識ミステリー部分を無くしてしまっても、十分に見応えのあるものになるだろう。まさに役者と演出家の勝利である。目の肥えたドラマ視聴者は、「監察医 朝顔」の作り込む空気にいつまでも浸っていたいと思わせる、それが上野と時任で押さえた幅広い層が共通し、視聴し続けてくれている理由ではないだろうか。今季のフジテレビ月9、いい作品である。

夏ドラマ視聴率二位は、「刑事七人 シーズン5」(テレビ朝日系列/水曜21時)。初回(7月10日)13.2%、第4話(8月7日)までの平均視聴率が12.2%、これまで11%台を切ることなく人気シリーズの強さを示した形だ。複数の強力ドラマコンテンツをローテーションさせながら高スコアを維持し続けるのは、今やテレビ朝日の必勝パターンである。図を見ても、ドラマ放映前は女性比率が70%以上だった主演の東山のファン層が、放映後は50%近くに変化していることがわかる。朝顔の上野と同じパターンで、ドラマの放映によって自身の固有ファン層とは逆の男性層を確実に獲得していることがわかる。

夏ドラマ第三位は、「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」(テレビ朝日系列/木曜21時)。初回(7月11日)14.3%、第3話(8月1日)までの平均視聴率が11.8%、今季ドラマの黄金パターン、警察、鑑識医、韓流リメイクの三つを併せ持った話題作だ。特に今季一位の「監察医 朝顔」とは同じ”司法解剖もの(?)”ということで、何かと比較されるのではないだろうか。ただ、「朝顔」が東日本震災絡みの重みのある設定を持っているのに対して、「サイン」は原作が韓流らしく悪に立ち向かうヒーローサスペンスものとなっている。その分人間ドラマよりもサスペンスやアクションに重点がある点で、初回14.3の高スコアが2回目以降は若干下がっていったのかもしれない。

それでも、ここまで三位である。特に一位の「朝顔」との関連で面白いのは、主演の大森南朋と共演の飯豊まりえの関係だ。父娘設定ではないが年齢的には十分親子ぐらいの開きがある。ドラマ上でも飯豊は大森のところに無理やり押しかけてくる研修医上がりの若き助手の設定で、父娘的な関係で物語が進行していく。

その意味では「刑事七人」の東山と倉科カナも同様の年齢設定、実際の刑事七人のドラマ上では吉田鋼太郎と倉科が父娘関係と言えるだろうか。


通常のドラマのヒーローとヒロインは、それがそのまま恋愛設定になるのが一般的だ。その場合、ヒーローとヒロインは通常同世代の設定になる。今季のドラマで言えば深田恭子と瀬戸康史、黒木華と高橋一生、石原さとみと福士蒼汰がそれだ。またあえてシニアの恋愛ものを狙いに行かなければ、このヒーローヒロイン世代は婚活世代に重なっていく。


その場合、父娘設定と比べて恋愛設定のドラマの主演二人のファン層は、実は狭いものになってしまうのだ。

今季好調のドラマ上位三作のキャスティングに、視聴者層を広げる興味深い共通点があったことが、面白い。





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