【Talent Rank】2018上半期タレントランキング 天才か、天然か!?長嶋一茂の紙一重プチバブル到来!!

テレビ朝日系で7月25日に放送された『ザワつく!一茂良純ちさ子の会』が15.0%の番組平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東・世帯)を獲得したことが話題になっている。

確かにテレビでは最近よく見かけるがどちらかというとゲストかサブキャスト的な印象のあった長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子といった強烈な個性を持ったタレントをあえてメインに据えた番組が、上々の数字を獲得したのだ。これは、バラエティ番組の新しい可能性を開くニュースになるのかもしれない。

エム・データが提供するタレント全量データサービス「Talent Rank」を使って、この数字の背景を少し見てみよう。

■モテ期到来? スーパースター長嶋一茂

 
 

上図は「Talent Rank」のサマリー編「タレント四季報」を使って出した長嶋一茂の2018年4-6月期のタレントスコアと2017年7月からの一年間のトレンドだ。

トレンドチャートをご覧いただいてわかるのは、もともと高かった長嶋一茂のテレビ番組露出量(緑棒)が2018年の4月以降さらに増えていること。そして、テレビでの話題回数(オレンジ線)も同じ4-6月期に急上昇しているのがわかる。これは4月以降のテレビ露出増が本人出演の増加だけではなく、本人の話題が番組で取り上げられるケースも含めて全体として長嶋一茂のプレゼンスが増えていることを示している。ツイートも前期の倍を記録する話題ぶり。ちょっとした一茂フィーバーがすでに5月の段階で起きていて、7月の15%も納得のモテモテの状況が生まれていたと言える。

この一茂モテ期到来の予兆はすでに2018年の1-3月の段階に現れていて、この時期もともと高かった一茂のテレビ露出量自体には大きな変化はないのだが、現在のブームの予兆を示すようにTwitterの量が先行して増えていたのが分かる。まるでモテ期地震の予兆を示すかのようなTwitter波の先行した動きだ。それまでは単発的であった一茂関連のツイートが、2017年の12月以降連続してバズり始めるのだ。活発な予震活動である。敏感なプロデューサーなら、このトレンド地殻の変化を肌で感じていたかもしれない。

もともとテレビ露出量の高かった一茂である。Talent Rank的にはテレビ露出が多くてバズ(Twitter)の少ない「ブロードキャスター」というクラスに分類されるタレントだ。以前の記事「最強タレントを探せ!タレントポジショニングで見る旬なタレント、伸びるタレント」を参照いただければ、ブロードキャスターがテレビ番組露出がタレント上位20%以内であるがツイート量は上位20%に届かないグループであることがお分かりいただけるだろう。ブロードキャスターには主に、アナウンサーやキャスター、コメンテイター、番組レギュラーを抱えている芸人など、番組キャストの一部として露出機会が多くなっているタレントたちが含まれている。テレビでは毎日のようによく見かけるがネットではあまり話題になっていないタレントたちで、視聴者が主体的にそのタレントのことをネットで語るモチベーションよりも、テレビ露出過多で受け身で見ていることの多いタレントと言ってもいいかもしれない。視聴者が自分のアカウントで関与しようとする動機以上にメディア露出パワーが勝ってしまい、受け身で毎日見ているタレント、といったところだろうか。

だが知名度や親近感は高いので、一度きっかけが与えられれば、この一茂のケースのように人々が自分のアカウントでそのタレントのことを語り出し、敏感なプロデューサー達がネット内外に漂い出したそのタレントのバズの空気を感じ取ってキャスティング機会が増え、さらにバズと本人話題が増加し、数字が伴い、気がついたら「スーパースター」の仲間入りを果たし、自らの名前のついた看板番組を持つ。スター誕生である。

一茂といえば、例えば北朝鮮がミサイルを撃った話題で「打ち上げ角度がホームランの打球と同じ、いい角度」と言ってスタジオを一瞬で凍りつかせるような危うさと計算不能な面白さが同居する稀有なタレントである。そのため扱いは難しく、ネットの話題も一瞬のプチ炎上を繰り返すような、どちらかというとカミソリの刃の上に居てどちらに倒れるのか見ていてハラハラが面白怖いブロードキャスターであったと思う。それが、視聴者もそんな芸風に慣れ、実はいい人なんだ、常識もあるんだ、みたいな人物に対する馴れも相まって、怖さよりも面白さが増してきたときに炎上を楽しむゆとりが生まれ、「また一茂」の安定した、そうなると長嶋一茂にしかない唯一無二の斜め上のそのまた斜めなリアクションに麻薬のようにはまり込んで行く面白さに視聴者が気付かされてきたのがこの最近のデータ傾向なのではないだろうか。

ここまでのことを想定して起用し続けたプロデューサーの才覚に、視聴者がやっと追いついてきたのがこの一茂ミニバブル到来なのかもしれない。ブロードキャスターのグループにいるタレントは知名度こそ高いもののなかなかブームにならない、よく見かけるけどあえて語るほどではない、あえて見に行くほどではない、という日常性が安心感でもありマイナス点でもあるのだが、そんな視聴者の期待を裏切る逆転ホームランの打ち方を、長嶋一茂は見せてくれたのかもしれない。


さすが天才の息子である。


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